Dr.宮良

「和」その8

今週私に「和」の重要性を説いてくれた2人の先生に会ってくる。

霞 富士雄…癌研附属病院乳腺外科部長、乳がんの世界に足を踏み入れているもので、その名を知らないのはモグリである。卓越した技量に加え、抜群の記憶 力を武器に、新しい発想で乳腺学をリードしている。しかし、その素晴らしさは、学問だけではなく、その人間味あふれる態度にある。決して奢(おご)ること がない。患者にも、われわれにも。

沖縄で霞先生の講演に感銘を受け、勢いで上京し、アポ無しで乳腺外科研修を志願してきた向こう見ずの輩を、門前払いせず、先生自ら机とロッカーを準備し てくれた。お金もなく、厳しい研修ではあったが(1年で8キログラムも痩(や)せた)、寝ている以外は「乳がん」に対峙し、「乳がん」をひたすら追求でき たのは、霞先生のサポートがあったからこそである。
そして日本各地にいる若手の乳腺外科医の多くは霞先生の薫陶を受け今活躍している。その霞先生が、今週末を持って乳腺診療の一線から退くことになった。そ の最後の日、弟子たちの前で最後の講義をすることになっている。われわれは霞先生の「和」の心を次世代の医師と患者へ伝えなければならない。

堤 寛(ゆたか)…藤田保健衛生大学病理学教授、医学生時代、病理学教室に出入りしていた私に、病理の楽しさだけではなく、医師としての心得を、顕微鏡 をのぞきながら、時には冷や酒を片手に、熱く、熱く語ってくれた。先生は、病理医なのに、愛知県の乳がん患者の会の代表世話人をして積極的に活動してい る。その堤先生から突然「宮良、学生相手に講義してくれ」と連絡が入った。私は2つ返事で承諾した。講義の半分は「和」の重要性を語ってこよう。堤先生の 魂の代弁者として。

●宮良球一郎(宮良クリニック院長)

平成17年10月13日(木)
琉球新報夕刊掲載

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