Dr.宮良

「和」その7

医療の世界は、われわれ医師が、まだ中心にどんと構えて、「患者」中心の医療と言いなが らも、患者と同じ目線で話を聞いていないような気がする。しかし、病医院の中に患者会を作ろうとする動きがあるという。喜ばしいことである。乳がんの世界 から、患者の前に立ちはだかる壁に風穴をあけていきたい。

前回取り上げた「ぴんく・ぱんさぁ」が活動を開始した。第1号の情報誌発刊を記念して開いた講演会は、不慣れながらも懸命に全て自らの手で準備した。果 たして会場いっぱいに乳がん患者とその家族が集まってくれた。熱意は伝わるものだ。興奮した私も思わず講演時間を超過してしまったが、講演後も質問攻めに あった。うれしいことである。本当に患者さんは情報に飢えていた。これから本島の津々浦々まで、乳がんの正しい情報発信を目指す「ぴんく・ぱんさぁ」の活 動を、ワクワクしながら見守って行きたい。この熱い思いは多くの患者を惹(ひ)きつけて、きっと「和」を広げていくに違いない。

実は患者会は本島だけではなく離島にも存在する。石垣島には、方言で桑の実を意味する「ナネーズの会」が活動をしている。主治医は違っても、仲良く情報 交換会を開いている。今度の日曜日、石垣市民会館で、私のライフワークである乳がん講演会を新たな気持ちで再開する。運営を「ナネーズの会」に一任した。 どんな会になるのか、ワクワク、ドキドキしながら会場に出向こうと思う。

桑の樹は農家に無くてはならなかった。桑の実は、子供にとりおいしいおやつだった。きっとナネーズも八重山の乳がん患者のよりどころとなるだろう。そし て私は、今度の日曜日も「乳がんの早期発見を」と声を嗄(か)らして叫んでいるに違いない。台風が来なければ。

●宮良球一郎(宮良クリニック院長)

平成17年9月29日(木)
琉球新報夕刊掲載

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