Dr.宮良

「和」その5

医師と患者の関係は、人間性が希薄で仁術を忘れた医師の存在のためか、権利主張が当然のように振る舞う患者が増えたせいなのか、ギクシャクしてきているらしい。私には理解できない。

当院クリニックや、妻の美代子クリニックには、書道家の盛島清■先生の壮大な書が、患者を温かく迎えてくれる。その書をみるたび私は陰日向無く診療することの重要性を痛感する。私も末席に加えてもらっている「亜宝の会」からの贈り物だからだ。

「亜宝の会」。声に出して読むと少し違和感があると思うが、「亜」にはアジ ア(亜細亜)や次代を担う、との意味があり各界で活躍中の県内芸術家を中心とした親交を深める会である。現在新報ギャラリーで作品展を開いている陶芸の奥 原崇仁先生、7月に作品展を開いた玉城栄一先生(洋画)をはじめ、音楽家、琉球古典、舞踏家など多士済々の、心も一流の魅力ある先生方が名を連ねている。 芸術とはおよそ無縁な私が何故そこにいるのか。それはこの会を束ねているAさんとの出会いに遡(さかのぼ)る。私が出向中の病院で、まだ一般外科医であっ たとき、Aさんは他の主治医のもとで入院治療を受けていた。その時主治医をサポートした私の医療行為、言動を目の当たりにし、治癒後Aさんは私に声をかけ てくれた。そして無芸の私を魅力的な芸術家の「和」のなかへ引き込んでくれたのである。

医師は時として自分は偉いという錯覚にとらわれることがある。だから私は常 々「実るほど頭を垂れる稲穂かな」を意識し、反省を繰り返す。そうすれば医師と患者は簡単に信頼関係を取り戻せるはずである。「和」ができるはずである。 私とA(新垣)さんと亜宝の会の関係のように。

●宮良球一郎(宮良クリニック院長)

注:■は上から今酉皿

平成17年9月1日(木)
琉球新報夕刊掲載

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